as のイメージはバランスの取れた天秤
英単語:as の正体(その1)では、次の2つの英文を紹介し、「as … as」と「so … that」の文構造が似ているとの話をしました。
- He is as strong as a horse.
- She was so kind that she helped us.
最初に出てくる「as」も「so」も「そのように〇〇だ」と指摘する働きがあり、どの程度「〇〇」かは、「as」や「that」以下で明らかになります。
最初に出てくる「as」と「so」が同じ働きをしていることは、基本英文700選の、次の2つの文章からも確認できます。
531. 私が生きているかぎりあなたに不自由はさせない。
You shall want for nothing as long as I live.
532. 食べすぎさえしなければ、何を食べてもよろしい。
You may eat anything so long as you don’t eat too much.
そして、前回のブログ【英単語:as の正体(その2)】では、原級比較、「〇〇のように」(様態)、時、比例で使用される as を含む英文は、英単語:as のコアイメージを「ほぼイコール」だと解釈することで、理解できることをみてきました。
今回は、残っている使い方のうち、前置詞としての as、理由の as、譲歩の as の3つを取り上げます。慣用句・熟語的な表現については、次回まとめて書きたいと思います。
英単語:as のコアイメージは、変わらず「ほぼイコール」です。天秤の両側に何を乗せるかが変わるだけで、as が担っている役目そのものは、ずっと同じです。
前置詞の as(〜として)
天秤の片方に「人やモノ」、もう片方に「役割・肩書き・定義」を乗せて、「この人(モノ)は、この役割とほぼイコールだ」とみなすイメージです。
103. おじは僕に通訳をやらせた。
My uncle made me serve as interpreter.
「僕」と「通訳」が、天秤の上でほぼイコール(=その役を務める人として扱われる)という関係です。
114. アメリカ人は、人が稼ぐ金額をその人の能力を測る尺度にすると言われている。
Americans are said to regard the amount of money a man makes as a criterion of his ability.
「稼ぐ金額」と「能力を測る物差し」が、天秤の上でほぼイコールとみなされています。
115. 彼は勉強に使わない時間を、それだけ無駄にしたように考えた。
He looked upon any time not spent in study as so much lost time.
「勉強に使わない時間」と「無駄にした時間」が、天秤の上でほぼイコールです。
120. 卒業に際して、私たちは感謝のしるしとして彼に置き時計を送りました。
On leaving school, we presented him with a table clock as a token of our thanks.
「置き時計」と「感謝のしるし」が、天秤の上でほぼイコールです。
430. ボクシングは、打たれずに打つ術であると定義されている。
Boxing has been defined as the art of hitting without being hit.
「ボクシング」と「打たれずに打つ術」が、天秤の上でほぼイコールです。
5文とも「AをBとして扱う/みなす/定義する」という形で、AとBを天秤に乗せ、ほぼイコールの関係に置いています。原級比較・様態・時・比例よりも、むしろ一番ストレートに「ほぼイコール」が当てはまるグループだと思います。
理由の as(〜なので)
理由の as は、時の as の応用だと考えることができます。
時の as の例文です。
105. パブに入ったら、多くの若者がテレビでサッカーの試合を見ていた。
As I entered the pub, I found many young people watching a soccer game on television.
「入ったとき:entered」と「気づいたとき:found」が「ほぼ同じ時」ですね。
時の as は「2つの出来事が同じ瞬間に重なる」というイメージです。
そして、理由の as は、「すでにそこにある状況」と「それに応じて取る行動」が、天秤の上でほぼイコールに釣り合っている(=状況が行動とセットで、当然のように結びついている)イメージです。
29. 昨日は久しぶりにひまだったので、友人とテニスを楽しんだ。
As I was free yesterday for the first time in years, I enjoyed playing tennis with my friends.
「ひまだった」という状況と「テニスを楽しんだ」という行動が、天秤の上でほぼイコールに釣り合っています。
340. ご相談したいことがありますので、明日の午後2時から3時の間にお邪魔したいと思います。
As I have something to talk over with you, I would like to call on you between 2 and 3 tomorrow afternoon.
「相談したいことがある」という状況と「お邪魔したい」という行動が、ほぼイコールに釣り合っています。
362. 彼は朝9時に東京を出発すると電話で言っていたのだから、もう着いているはずだ。
He ought to have arrived by now, as he told me by phone that he would leave Tokyo at nine in the morning.
「9時に出発すると言っていた」という状況と「もう着いているはずだ」という結論が、ほぼイコールで釣り合っています。
時の as との違いは、単なるタイミングの一致ではなく、「状況」⇒「当然の結果」という因果のつながりがある点です。それでも、状況と行動(結果)を天秤の上でほぼイコールに結びつけるという、as の基本の働きは変わりません。
譲歩の as(〜ではあるが)
譲歩の as は、天秤に重りを目一杯乗せるだけでは終わりません。その重さから普通なら予想される結論と、後ろの文がわざと逆方向に進むことで、初めて譲歩の意味が生まれます。「これだけの重さがあるのに、それでもなお」という、天秤の重さと結論のねじれこそが、譲歩の正体だと考えられます。
503. 砂糖はわれわれの脳および細胞の健全な状態を保つのに重要であるが、それを常食とすることはできない。
Important as sugar is to our brain and cellular health, we cannot live upon it.
「砂糖は重要だ」という重りを、天秤いっぱいに(これ以上ないくらい)乗せています。「砂糖は重要だ」という重さからは「だから日常的に摂るべきだ」という結論が予想されます。ところが、後半ではその予想に逆行して「常食にはできない」になっています。この逆行があって初めて、「重要ではあるが」という譲歩の意味が成り立ちます。
324. どんなに試みても、彼らは「幸福」という言葉を定義することは出来ない。
Try as they may, they will never be able to define the word “happiness”.
「試みる」という重りを、天秤いっぱいに(可能な限り)乗せています。「目一杯試みる」という重さからは「だからできる」という結論が普通は予想されます。ところが、後半は「決して定義できない」と、これも予想に逆行しています。
譲歩が成立する条件は2つです。
(1) as の節で、重りを天秤いっぱいに乗せること
(2) 後ろの文が、その重さから普通予想される結論とは逆の方向に進むこと
(1)だけでは単なる強調文になってしまい、(2)が加わって初めて「〜ではあるが」「〜にもかかわらず」という譲歩の響きが生まれています。
日本語から英語を思い出しましょう
英単語:as のコアイメージを意識して、今回取り上げた12個の英文を思い出してみましょう。
- 私が生きているかぎりあなたに不自由はさせない(531番)
- 食べすぎさえしなければ、何を食べてもよろしい(532番)
- おじは僕に通訳をやらせた(103番)
- アメリカ人は、人が稼ぐ金額をその人の能力を測る尺度にすると言われている(114番)
- 彼は勉強に使わない時間を、それだけ無駄にしたように考えた(115番)
- 卒業に際して、私たちは感謝のしるしとして彼に置き時計を送りました(120番)
- ボクシングは、打たれずに打つ術であると定義されている(430番)
- 昨日は久しぶりにひまだったので、友人とテニスを楽しんだ(29番)
- ご相談したいことがありますので、明日の午後2時から3時の間にお邪魔したいと思います(340番)
- 彼は朝9時に東京を出発すると電話で言っていたのだから、もう着いているはずだ(362番)
- 砂糖はわれわれの脳および細胞の健全な状態を保つのに重要であるが、それを常食とすることはできない(503番)
- どんなに試みても、彼らは「幸福」という言葉を定義することは出来ない(324番)
思い出せなかった英文は「ほぼイコール」のコアイメージを持つ “as” を意識しながら声に出して読むと、記憶として定着しやすくなると思います。試してみてください。
前置詞の as は「AをBとみなす」
理由の as は「状況と行動がセットで結びつく」
譲歩の as は「重りを目一杯乗せた上で、結論がその重さの予想を裏切る」
表現される形はそれぞれ違いますが、as が「ほぼイコール」の関係を作り出しているという点は、どれも変わりません。
もし、「新・基本英文700選」がお手元になければ、ぜひ手に入れてください。そして、英文をどのように解釈するのか、伊藤和夫先生の視点を想像されると、記憶に残りやすくなると思います。
今回は、前置詞・理由・譲歩の as を取り上げました。次回は、as を使った慣用句・熟語的な表現をどのように理解すると、覚えやすくなるかについて書く予定です。どうぞよろしくお願いします。


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