第12回:英単語:as の正体(その2)

基本英文700選を覚える

「as」のコアイメージ

基本英文700選の英文は、伊藤和夫先生の視点から、構文を解析して、グループ分けされています。

伊藤先生の視点が理解できると、英文も覚えやすいのですが、伊藤先生の考え方がわからないときには、英文を覚えるのが難しくなってしまいます。

英単語:as を含む英文を覚えるのに、僕は苦労していたけど、「as … as は so … that」に似た構造だと自分なりに解釈できたら、英文が覚えやすくなったことを前回のブログでは書きました。

今回のブログでは、英単語 as のコアイメージをつかむことによって、英単語:as を含む英文が理解しやすくなり、覚えやすくなることについて書きたいと思います。

英単語 as をひと言で表現すると「ほぼ同じ・イコール」だと思います。

齋藤秀三郎の辞書からのヒント(再掲)

英単語:as のコアイメージが思い浮かんだのは、「齋藤秀三郎著・英和中辞典」の「as」の説明を読んだ時でした。

以下、引用します。

as [æz] 注意 — “He is as strong as an ox.” — 先の as と後の as は、同一の as にあらず。先の as は、指摘副詞とて指摘形容詞 “same” “such” “that” に類し、後の as は、関係副詞とて、関係代名詞 “which” “that” に類す。而して上例に換言すれば — “He has the same (degree of) strength which an ox has.” — となる。【asの品詞】第一指摘副詞、第二関係代名詞、第三接続詞、第四前置詞。

以上、引用でした。

as のコアイメージ:バランスが取れた天秤

「齋藤秀三郎著・英和中辞典」のこの “as” の説明を読み、”as” が使われている英文を読んでいたとき、僕なりにひらめいたものがありました。

先の “as” が「そのように」の意味がある指摘副詞、つまり “same” や “such” の仲間だということは、asという1語の中に、すでに「そのように同じ・イコール」という語感があるように思いました。

そして、「同じ・イコール」から、Be動詞の “is” が思い浮かびました。

“A is B” は「AはBだ」と言い切れる、いわば「A=B」です。”is” の発音に似ている “as” は、”is” の親戚のようなものとして考えられるのではないか。

でも、”is” のようには断言しない。少し緩んで広い感じがする「A≈B(AはほぼB)」「ほぼイコール」という語感ではないのか。そう考えると、”as” という単語に出会うたびに、頭の中では、ここで何かと「ほぼイコール」の関係が結ばれているんだなという、天秤でバランスを取っているイメージを思い浮かべるといいように思いました。

もちろん、”as” を日本語に訳すときには「〜のように」「〜なので」「〜として」「〜につれて」と、文脈によって訳語を変える必要がありますが、その奥にある骨組みは、バランスを取っている天秤のように「ほぼイコール」を表現していると考えると、自分の中では、”as” の使い方が説明がつくように思いました。

原級比較の “as … as”

英単語:as のコアイメージを、天秤でバランスが取れている状態、「ほぼイコール・同じ」と見なして、原級を表現している “as … as” を含む英文を見てみましょう。

He is as strong as a horse.

He is strong だと「彼は強い」けど、どの程度強いかはわかりません。

He is as strong であれば「彼は【ほぼ同じように】強い」

ただし、ここで文が終わることはありません。

「何とほぼ同じなの?」と、聞き手の中では疑問が浮かびます。

何と【ほぼ同じように】強いかは、あとから出てくる “as” で解決します。

as a horse(馬とほぼ同じくらいに)

これで疑問が解決しました。

He is as strong as a horse.
as strong(ほぼ同じくらい強い)
何と同じくらい?
as a horse(馬とほぼ同じくらい)

最初に出てくる “as” もあとから出てくる”as” も、どちらも「ほぼ同じくらい」と理解することで、意味を取ることができると思います。

では、基本英文700選の文章を見てみましょう。

535. 父が上京したときには今の私と同じ年齢だったそうです。
I hear my father was as old as I am now when he came up to Tokyo.


my father was as old(私の父はほぼ同じくらいの年齢だった)
誰と同じ年齢だったかは、後の “as” で明かされます。
as I am now(私の現在の年齢とほぼ同じ)

日本語訳では「同じ年齢」となっていて「ほぼ同じ・イコール」ではないとのツッコミが聞こえてきそうです。

でも、よく考えてみると、例えば、父が上京したのが、父が20歳で、生まれたのが5月だった場合、そして、今の僕のが20歳で、誕生日が11月だったとしたら、日数まで数えれば、2人の年齢は完全に一致はしません。半年近くのズレがあってもおかしくありません。でも、普通は「同じ年齢だ」との表現を気にせず使います。

つまり “as ~ as” が指しているのは、1日単位で寸分違わぬ一致ではなく、年齢という物差しで見れば「ほぼ同じである」という、ある程度幅のある一致だと思います。

英単語:as には、「イコール」のイメージがある “is” のようなシャープな感じはないように思います。だからこそ “as” は「ほぼイコール」なのだと、僕は思います。

440番も同じように理解して良いと思います。

440. 私たちの知っている人で、彼に劣らず有能な人の名をあげられますか。
Can you mention anyone that we know who is as talented as he is?


who is as talented(ほぼ同じ才能に恵まれている)
誰と同じ才能に恵まれているかとの説明が、後の “as” の部分で明かされます。
as he is(彼が才能に恵まれているのとほぼ同じように)

英単語:as のコアイメージを「A≈B」「ほぼイコール」だと理解することで、原級:as … as の英文は、最初の as で「ほぼイコール」であることを表現し、次に出てくる as で、具体的に誰、あるいは何と「ほぼイコール」であるかを明らかにしていることがわかります。

英文を訳すときは、535番なら「〜と同じ年齢」、440番なら「〜に劣らず」と、日本語の形は変わっていますが、英単語:as のコアイメージを「ほぼイコール」と理解することで、as を使った英文は、理解でき、覚えやすくなると思います。

次の英文も、英単語:as を「ほぼイコール」と解釈することで、理解できると思います。

612. 実践は理論と同様に大切であるが、われわれは理論を重んじ、実践を軽んじる傾向がある。
Practice is as important as theory, but we are apt to value the latter and despise the former.


Practice is as important(実践はほぼ同じくらい大切)
何と同じくらい大切かというと、後の “as” で明かされます。
as theory(理論とほぼ同じくらい)

この612番も同じ仕組みで説明できることがわかります。

最初の “as” で「ほぼイコール」を宣言し、後の “as” で、具体的に誰と、あるいは何と「ほぼイコール」なのかを明らかにする。この2段構えが、原級比較のパターンということができます。

様態の “as if”(想像を天秤に乗せる)

ここまで見てきた例は、天秤の両側に乗っているのが、どちらも「本物」でした。父の年齢も、私の年齢も、理論の大切さも、実践の大切さも、すべて現実に存在するものです。

面白いことに “as” の仲間には、片方に本物ではなく、想像も乗せることができます。日本語で言えば「まるで〇〇のように」「まるで〇〇のようだ」がこれにあたります。「まるで〇〇ようだ」は「本当かどうかは別として、ほぼ同じに見える」ときに使う言葉です。だからこそ、天秤の片方が想像や仮定であっても、”as”(ほぼイコール)が使えるのでしょう。英語では、”as if 〇〇” となり「〇〇と想像したのとほぼ同じくらい」との解釈することができます。

536. 1月というのに春先のような暖かさだ。
Though it is now January, the weather is as warm as if it were early spring.


as warm(ほぼ同じくらい暖かい)
何と同じくらい暖かいかというと
as if it were early spring(想像した春先とほぼ同じくらい)

実際にはまだ1月です。春先ではありません。それでも、「ほぼイコール」の天秤に「もし春先だったら」という想像していることを乗せて、暖かさの度合いを伝えています。

次の英文も同じ構造です。

310. 私はまだ夢をみているような楽しい気持ちだった。
I felt as happy as if I were still dreaming.


as happy(ほぼ同じくらい幸せ)
as if I were still dreaming(まだ夢を見ていると想像したのとほぼ同じくらい)

373. 彼は静粛を命じるかのように手をあげた。
He raised his hand as if to command silence.
これも同じ仕組みです。実際に「静粛に」と命令の言葉を発したわけではありません。

想像した「静粛を求める命令」と「ほぼイコールの動作として」手をあげた、ということになります。

原級比較の天秤には、両方とも本物の重りが乗ります。「〇〇のように」の天秤には、片方に本物、もう片方に想像や仮定という重りが乗ります。重りの中身が変わっただけで、”as” が担っている「ほぼイコール」という役目そのものは、何も変わっていません。

時の as(ほぼイコールのタイミング)

これまでの天秤は、「重さ」や「度合い」を左右で釣り合わせるものでした。ここからは少し視点を変えて、天秤の左右に乗るのが「重さ」ではなく「出来事が起こる瞬間」だとイメージしてみてください。

105. パブに入ったら、多くの若者がテレビでサッカーの試合を見ていた。
As I entered the pub, I found many young people watching a soccer game on television.

「私がパブに入った」出来事と「多くの若者がサッカーを見ていたのに気づいた」という出来事、この2つの出来事が、天秤の左右でピタッと同じ瞬間に釣り合っています。

「入った」のと「気づいた」のが、ほぼ同時(=ほぼイコールのタイミング)だからこそ、asでつながれているわけです。

684. 私が友人に別れを告げると、彼は近いうちにまた会いたいと言った。
As I was taking leave of my friend, he said he would be glad to see me again before long.

こちらも同じ構造です。「私が別れを告げている」という出来事と「彼がそう言った」という出来事が、同じ時間の枠にほぼ同じ時間に重なっています。

原級比較の as や、様態を表す「〇〇のように」のasが「2つのモノ・状態」をほぼイコールで結んでいたのに対し、「時の as」は「2つの出来事が起こるタイミング」をほぼイコールで結んでいます。天秤に乗せる重りの中身が「時間」に変わっただけで、as の役目(ほぼイコール)は変わりません。

比例の as(〜につれて)

時の “as” が「一瞬」の重なりだったのに対し、比例の “as” は、天秤の両方の皿に、同時に、同じペースで重りを足していくイメージです。片方だけに重りを足せば天秤は傾いてしまいますが、両方の皿に同じペースで足していけば、天秤はずっと水平(=ほぼイコール)を保ったままです。

484. 科学が進歩するにつれ、古い習慣は新しいものに取って代わられる。
As science makes progress, old ways give place to new.

「科学が進歩していく」という重りと、「古い習慣が新しいものに置き換わっていく」という重り。天秤の両方の皿に同時に、同じペースで積まれていきます。科学が10進めば、習慣の置き換わりも、ほぼ同じくらい10進む。天秤は傾かず、水平を保ったまま重くなっていく。この「釣り合いを保ったままの変化」を “as” で表現しているように思います。

ちなみに基本英文700選には、この比例の as を丁寧に言い換えた表現も出てきます。

529. 金持ちか貧乏かによって、ものの見方が違うものだ。
We see things differently according as we are rich or poor.

530. 子供たちの言うことは、年齢が上がるのに応じて、まじめに考慮しなくてはならない。
Children’s statements must be seriously taken into account, in proportion as they grow old.

「according as」も「in proportion as」も「比例の as」をより明確にした熟語的な形です。でも、中身は同じ「水平を保ったまま重くなる天秤」なので、”as” の核心(ほぼ同じ)さえ押さえていれば、これらの表現も自然に理解できると思います。

日本語から英語を思い出しましょう

英単語:as のコアイメージを意識して、今回取り上げた11個の英文を思い出してみましょう。

  1. 父が上京したときには、今の私と同じ年齢だったそうです(535番)
  2. 私たちの知っている人で、彼に劣らず有能な人の名をあげられますか(440番)
  3. 実践は理論と同様に大切であるが、われわれは理論を重んじ実践を軽んじる傾向がある(612番)
  4. 1月というのに春先のような暖かさだ(536番)
  5. 私はまだ夢をみているような楽しい気持ちだった(310番)
  6. 彼は静粛を命じるかのように手をあげた(373番)
  7. パブに入ったら、多くの若者がテレビでサッカーの試合を見ていた(105番)
  8. 私が友人に別れを告げると、彼は近いうちにまた会いたいと言った(684番)
  9. 科学が進歩するにつれ、古い習慣は新しいものに取って代わられる(484番)
  10. 金持ちか貧乏かによって、ものの見方が違うものだ(529番)
  11. 子供たちの言うことは、年齢が上がるのに応じて、まじめに考慮しなくてはならない(530番)

思い出せなかった英文は「ほぼイコール」のコアイメージを持つ “as” を意識しながら声に出して読むと、記憶として定着しやすくなると思います。試してみてください。

もし、「新・基本英文700選」がお手元になければ、ぜひ手に入れてください。そして、英文をどのように解釈するのか、伊藤和夫先生の視点を想像されると、記憶に残りやすくなると思います。

今回は、”as” のコアイメージを取り上げました。次回は、前置詞としての “as” や “as” を使った慣用表現など、残っている “as” の使い方をどのように理解すると、覚えやすくなるかについて書く予定です。どうぞよろしくお願いします。

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