第4回:突然の病に倒れる(前半)

基本英文700選を覚える

Wikipediaによると、伊藤和夫先生は、「第一高等学校卒業を経て、1947年旧制東京大学哲学科入学後は病気療養を挟みつつ、1953年旧制東京大学哲学科を卒業した」となっています。

その記述に関連がありそうな、文章を「新・基本英文700選」から選び、その英文を覚えるために、物語を想像しました。楽しんで、英文を覚えていただけると嬉しく思います。

一高(旧制第一高等学校)時代の和夫は、体力にも自信があった。

周りにもこう公言していた。

251. 私は若い頃から運動が好きである。
I have been a lover of sports since I was young.

そして、水泳には、ちょっとした自信もあった。

252. 私は水泳に相当の自信を持っていた。
I thought I was a fairly good swimmer.

運動で体を鍛えていたので、ここ何年かは、風邪をひくこともなかった。

267. 彼はここ数年風邪一つひいたことがないそうです。
He says he has never caught cold during the past [last] several years.

「医者にかかったことすら一度もない」と自慢していた和夫だった。

218. 彼は生れてから一度も医者にかかったことがないと自慢している。
He is proud of the fact that he has never consulted a doctor in his life.

誰よりも足も速かった。

202. 彼は非常に速く走ったので、彼らは追いつけなかった。
So fast did he run that they couldn’t catch up with him.

バランス感覚も優れていて、目をつぶり片足で、僕のように立ち続けられるかよく聞いたものだった。

633. 目を閉じて片足で1分間立っていられますか。
Can you keep standing on one of your legs with your eyes closed for a minute?

体力にも、知力にも、自信があった。

哲学書を読み耽り、夜遅くまで机に向かう日々。

若さというのは、無理がきくものだと、和夫はどこかで信じていたのかもしれない。

しかし、そんな生活は、いつまでも続くものではなかった。

620. 過労やら不眠やらで、彼はとうとう病気になってしまった。
What with fatigue and (what with) lack of sleep, he has fallen ill at last.

最初は、誰もがよくある体調不良だと思っていた。

少し休めば、すぐに元通りになるだろう、と。だが、それは違った。

583. 彼の病状が急変するとは誰も思っていなかった。
Nobody expected that his condition would take a sudden turn.

熱は下がらず、体は日に日に痩せ細っていった。

結核だった。当時、抗生物質は貴重で、簡単には手に入らない時代だった。

学業にも、影響が及んだ。

655. 彼は病気のために試験が受けられなかった。
He could not take the examination on account of his illness.

これまでは、寒さで風邪をひくこともなかった和夫だった。

しかし、体が弱ってからは、風邪をひきやすくなってしまった。

75. 寒い季節に入ると、からだの弱い人はとかく風邪をひきやすい。
Those who are in delicate health are apt [liable] to catch cold when the cold season sets in.

床に伏せながら、和夫はこう思っていた。

53. 出来るだけ勉強して、浪費した時間を取り返すつもりです。
I will make up for the lost time by working as hard as I can.

長い闘病の末、和夫の病状は、少しずつではあるが、良い方向へと向かい始めていた。

40. 彼の病気は徐々に快方に向かっている。
He is slowly recovering from his illness.

体力にも知力にも自信があった青年(和夫)が、突然の病でそのすべてを奪われかけました。

その先に何があったのか――700選の英文を覚えるための想像の物語は、次回へと続きます。

次回(突然病に倒れる:後半)では、青年(和夫)がどのように回復への道をたどっていったのかを描きます。

日本語から英語を思い出しましょう
今回の物語に登場した12文です。日本語を見て、英文を思い出してみてください。英文700選内の番号も付記しました。

1.私は若い頃から運動が好きである(251)
2.私は水泳に相当の自信を持っていた(252)
3.彼はここ数年風邪一つひいたことがないそうです(267)
4.彼は生れてから一度も医者にかかったことがないと自慢している(218)
5.彼は非常に速く走ったので、彼らは追いつけなかった(202)
6.目を閉じて片足で1分間立っていられますか(633)
7.過労やら不眠やらで、彼はとうとう病気になってしまった(620)
8.彼の病状が急変するとは誰も思っていなかった(583)
9.彼は病気のために試験が受けられなかった(655)
10.寒い季節に入ると、からだの弱い人はとかく風邪をひきやすい(75)
11.出来るだけ勉強して、浪費した時間を取り返すつもりです(53)
12.彼の病気は徐々に快方に向かっている(40)

思い出せなかった英文は、エピソードに戻り、俳優になったつもりで、感情を込めたり、時にジェスチャーを交えて、英文を声に出して読むと、記憶として定着しやすくなると思います。試してみてください。もし、「新・基本英文700選」がお手元になければ、ぜひ手に入れてください。そして、伊藤先生がどのような想いを込めて、一つ一つの単語や表現を選んだかを想像されると、記憶に残りやすくなると思います。

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