【問4】は、お金の貸し借り(金銭消費貸借)に伴う「担保(たんぽ)」や「相殺(そうさい)」に関する総合問題です。
民法の担保物権(抵当権・質権・留置権・先取特権)の性質と、不法行為における相殺の特則を理解しているかが問われています。
【テーマ:担保物権と相殺(抵当権・質権・留置権・不法行為)】
令和7年 【問4】 自問自答ノート
■ リード文
(Aは何をした?) AがBから弁済の期限の定めなく金1,000万円を借り入れる金銭消費貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)における次の記述のうち、(何によれば?)民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
■ 選択肢 1
(Aは自分の不動産を使って担保を設定できるか?) Aは、本件契約におけるAの債務を担保するために、Aが所有する不動産に対し、Bのために、抵当権を設定することはできるが、(質権はどうか?)質権を設定することはできない。
■ 選択肢1が、誤り(×)である理由
不動産にも「質権(しちけん)」が、設定できるからです。(質権とは?)物を預かって担保にする権利ですが、動産だけでなく「不動産質権」も民法上認められています。実際にはあまり使われませんが、法律上は可能です。したがって、「質権を設定することはできない」とする本選択肢は誤りとなります。
【🗝️Key置くポイント】不動産には「抵当権」も「質権」も設定できる。(※ただし、質権は質屋さんと同じで「家を明け渡さないといけない」ので、実務ではほとんど使われません!)
· 質権(しちけん)= 質屋(しちや)さんのルール
- 時計やバッグを質入れしたら、お金を返して受け戻すまで、お店に預けっぱなしですよね?(自分の手元にはないので使えません)。
- 不動産も同じで、「家の鍵を渡して、明け渡す」必要があります。だから住めません。
· 抵当権(ていとうけん)= 住宅ローンのルール
- 銀行にお金を借りても、家にはそのまま住み続けられますよね。
- その代わり、返せなくなったら競売にかけられます。
この理解があれば、もし試験で「不動産質権設定者は、当該不動産を使用収益することができる」といったひっかけ問題が出ても、「いやいや、質草(しちぐさ)として渡してるんだから無理でしょ!」と即座に反応できるようになります。
■ 選択肢 2
(BがAの動産を預かっている場合、留置権を使えるか?) Aが本件契約に基づく債務の弁済を怠ったときに、BがAから預かっている動産を占有している場合には、Bは当該動産の返還時期が到来しても弁済を受けるまでその動産に関して留置権を行使することができる。
■ 選択肢 2が、誤り(×)である理由
この動産について留置権が、成立しないからです。(なぜなら?)留置権が成立するためには、その物と債権との間に「関連性(牽連性:けんれんせい)」が必要だからです。(例:時計の修理代を払わないから時計を返さない)。単に「お金を貸している」ことと、「たまたま預かっている動産」の間には関連性(牽連性)がないため、留置権は主張できません。(なぜ牽連性がないと言えるのか?) Bの債権は「貸金(本件契約)」であり、「その動産(修理代や保管料など)」から生じた債権ではないため、両者は無関係だからです。
【🗝️ Key置くポイント 】 牽連性(関連性)のない動産に留置権なし!
■ 選択肢 3
(BはAの全財産から優先的に回収できる権利があるか?) Aが本件契約に基づく債務の弁済を怠った場合には、BはAの総財産に対して先取特権を行使することができる。
■ 選択肢 3が、誤り(×)となる理由
一般の貸金債権には、「先取特権(さきどりとっけん)」が、ないからです。(一般の先取特権とは?)従業員の給料や葬式費用など、法律で特に守られている債権だけが、債務者の総財産から優先的に回収できる権利です。単なる個人の貸し借り(貸金)には認められていません。
【🗝️ Key置くポイント 】 一般貸し金債権に先取特権なし!
■ 選択肢 4
(Aが、Bから悪意で危害を加えられた被害者である場合、相殺できるか?) Aが、期限が到来しているBの悪意による不法行為に基づく金1,000万円の損害賠償請求債権をBに対して有している場合、Aは本件契約に基づく返還債務をBに対する当該損害賠償請求債権で相殺することができる。
■ 選択肢 4が、正解(〇)となる理由
不法行為の「加害者(B)」からは、相殺を主張することはできません。というのも、被害者に現金を支払わせることになるからです。(では、本肢のように「被害者(A)」から相殺を主張することはできます。被害者自身が「現金をもらう代わりに借金をチャラにしてもいいよ」と言う分には問題がないからです。したがって、本肢は正しい記述となります。
★ 宅建試験のポイント(学習のコツ)
選択肢4の**「不法行為と相殺」**は頻出論点です。
ノートには、以下の「矢印の向き」をイメージして書き込むと分かりやすいです。
- 加害者(B)→ 被害者(A): 「借金と相殺だ!」と言って賠償を逃れることは禁止(×)。
- 被害者(A)→ 加害者(B): 「借金と相殺でいいよ」と自ら言うことはOK(〇)。
理解できたか確認しましょう。
目標:根拠を説明でき、正解にたどり着くこと
【問 4】 AがBから弁済の期限の定めなく金1,000万円を借り入れる金銭消費貸借契約 (以下この問において「本件契約」という。)における次の記述のうち、民法の規定及び判例 によれば、正しいものはどれか。
1 Aは、本件契約におけるAの債務を担保するために、Aが所有する不動産に対し、Bのた めに、抵当権を設定することはできるが、質権を設定することはできない。
2 Aが本件契約に基づく債務の弁済を怠ったときに、BがAから預かっている動産を占有し ている場合には、Bは当該動産の返還時期が到来しても弁済を受けるまでその動産に関して 留置権を行使することができる。
3 Aが本件契約に基づく債務の弁済を怠った場合には、BはAの総財産に対して先取特権を 行使することができる。
4 Aが、期限が到来しているBの悪意による不法行為に基づく金1,000万円の損害賠償請求債権をBに対して有している場合、Aは本件契約に基づく返還債務をBに対する当該損害賠償請求債権で相殺することができる。
根拠が説明でき、正解にたどり着くことができたでしょうか?
不明確な点に関しては、自問自答形式に戻り、確認して、根拠が言えるようにしましょう。
根拠が説明でき、正解にたどり着けたら、今回は、終了です。
お疲れさまでした。
- 不動産適正取引推進機構で公開されている過去問を元に、自分の勉強用として、Gemini と共に作成した自問自答形式の資料になります。
- 試験対策として、過去問を1問1問解いていくのも良いと思いますが、試験に合格するためには、「体系的なカリキュラム」が欠かせません。「AIで深く納得」し「オンライン講座で広く網羅する」方針が賢明だと思います。興味のある方は、一度チェックしてみてください。
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