【問35】もしものための「人質」?営業保証金の仕組みをストーリーで解説

宅建試験でボケ防止

今回のテーマは「営業保証金」です。保証協会に入っていない業者Aさんが、自ら供託所に大金を預けてビジネスをする際のルールを確認していきましょう。


宅建業を始めるには、もしもの時にお客さんを救済するための「準備金」が必要です。

今回の【問35】は、保証協会(身代わり)を立てずに、自分の力で法務局にお金を預ける「営業保証金」スタイルの業者Aさんの物語です。

1. この問題のテーマ:「お客さんのための保険金」を管理する物語

営業保証金は、いわば「お客さんのための人質」です。業者がヘマをしてお客さんに損をさせた時、その人質(お金)から損害を補填します。

「どこに預けるのか?」「いつ返してもらえるのか?」という、お金の管理ルールが問われています。

では問題文を読んでみましょう。

【問35】 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)の営業保証金に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、Aは宅地建物取引業保証協会の社員ではないものとする。


2. 各選択肢のストーリー解説

選択肢1番を確認しましょう。

1  免許の有効期間満了の際、Aが営業保証金を取り戻そうとする場合には、供託した営業保証金につき還付を受ける権利を有する者に対し、 6 か月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を官報に公告しなければならない。

1:店を畳むなら「最後のお触れ」を出せ(返還の物語)

【内容】 免許失効後に営業保証金を取り戻すには、6か月以上の期間を定めて官報に公告しなければならない。

  • ストーリー的解釈:免許の期限が切れて廃業する時、Aさんは「預けていた1,000万円を返して!」と供託所に言います。でも、ちょっと待ってください。もしAさんに騙されたまま気づいていないお客さんがいたら、お金を返した後に逃げられてしまいます。そこで、「これからお金を回収するから、損害がある人は半年以内に名乗り出て!」と新聞(官報)でお知らせ(公告)をする義務があるのです。
  • 結論:正しい(〇)営業保証金を取り戻す際は、原則として6か月以上の期間を定めた公告が必要です。これがお客さんを守る最後の砦となります。

次に選択肢2番を確認しましょう。

2  Aが営業保証金を供託する場合において、金銭と有価証券を併用して供託することができるが、従たる事務所を設置したときの営業保証金については、金銭のみをもって供託しなければならない。

2:お金の形は何でもいい(支払手段の物語)

【内容】 支店を増やす時の保証金は、金銭だけで供託しなければならない。

  • ストーリー的解釈:営業保証金は、現金以外に「有価証券(国債など)」で収めることも認められています。「支店(従たる事務所)を増やす時だけは現金限定!」なんて意地悪なルールはありません。本店でも支店でも、中身が価値のあるものならセット(併用)で預けてOKです。
  • 結論:誤り(×)本店の分でも支店の分でも、金銭と有価証券を併用して供託することができます。

では、選択肢3番です。

3  Aは、事業の開始後新たに乙県に従たる事務所を設置したときは、従たる事務所の最寄りの供託所に営業保証金を供託し、その供託物受入の記載のある供託書の写しを添付して、その旨を甲県知事に届け出なければならない。

3:財布は一つにまとめなさい(場所の物語)

【内容】 別の県に支店を作ったら、その支店の近くの供託所に預けなければならない。

  • ストーリー的解釈:支店が増えるたびに、あちこちの地域の供託所にお金を預けに行ったら、管理がバラバラで大変ですよね。お客さんが還付(お金をもらう)を受ける時も、どこに行けばいいか迷ってしまいます。そのため、営業保証金は**「本店の最寄りの供託所」**という一つの大きな財布にまとめて入れることになっています。
  • 結論:誤り(×)新たに支店を設置した場合でも、追加の供託は**「主たる事務所(本店)」の最寄り**の供託所に行います。支店の近くではありません。

では、最後の選択肢4番です。

4  Aの設置した支店においてAと宅地建物取引業に関する取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、500 万円を限度としてその債権の弁済を受ける権利を有する。

4:支店の壁を超えて全額守る(救済額の物語)

【内容】 支店で取引した人は、支店分の500万円を限度にしか弁済を受けられない。

  • ストーリー的解釈:「私は支店(500万円分)で騙されたから、500万円までしか返ってこないの?」……そんなことはありません!営業保証金は、本店分(1,000万円)と支店分(500万円)を合わせた**「全額(1,500万円)」**が、すべてのお客さんのための共通のプール金です。どこで取引した人でも、そのプールにあるお金全体から還付を受ける権利があります。
  • 結論:誤り(×)還付を受けられる額は、その業者が供託している営業保証金の全額が限度となります。支店ごとの金額に縛られることはありません。

3. まとめ:正しいものはどれ?

整理すると、以下の通りです。

  • 1:正しい(お金を返す前にお知らせが必要)
  • 2:誤り(支店分も有価証券でOK)
  • 3:誤り(預け先は常に本店の近く)
  • 4:誤り(還付は全額から受けられる)

正解:1


学習のアドバイス:「場所」と「金額」の集中

営業保証金の問題は、**「常に本店の供託所がメイン」**というルールを覚えるだけで、多くの引っかけを回避できます。

「支店を増やしても、お金は本店の財布へ」

「支店でトラブルがあっても、本店の財布から支払う」 

この「一点集中」のイメージを持っておくと、ケアレスミスが減りますよ!


理解できたところで、もう一度問題を確認しましょう。

【問35】 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)の営業保証金に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、Aは宅地建物取引業保証協会の社員ではないものとする。
1  免許の有効期間満了の際、Aが営業保証金を取り戻そうとする場合には、供託した営業保証金につき還付を受ける権利を有する者に対し、 6 か月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を官報に公告しなければならない。
2  Aが営業保証金を供託する場合において、金銭と有価証券を併用して供託することができるが、従たる事務所を設置したときの営業保証金については、金銭のみをもって供託しなければならない。
3  Aは、事業の開始後新たに乙県に従たる事務所を設置したときは、従たる事務所の最寄りの供託所に営業保証金を供託し、その供託物受入の記載のある供託書の写しを添付して、その旨を甲県知事に届け出なければならない。
4  Aの設置した支店においてAと宅地建物取引業に関する取引をした者は、その取引により生じた債権に関し、500 万円を限度としてその債権の弁済を受ける権利を有する。

どうでしょうか?

根拠を説明した上で、正解にたどり着けだでしょうか?

今回は以上です。お疲れさまでした。

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