毎日の生活に欠かせない、スマートフォン。 朝起きてGoogleで天気を調べ、Amazonで買い物をして、LINEやFacebookで家族と連絡を取る。
これらはあまりに便利で、もはや空気や水のように当たり前になっていますよね。
しかし、少し立ち止まって考えてみてください。
「今日何を買ったか」 「誰とどんな話をしたか」 「どこへ出かけたか」
これらの情報はすべて、Google、Apple、Amazon、Meta(旧Facebook)といったアメリカの巨大企業(通称:GAFA)のサーバーに記録されています。
彼らはインターネット上の**「巨大なデパートの大家さん」**のような存在です。
私たちはそのデパートで買い物をさせてもらっていますが、大家さんが「あなたは今日から出入り禁止です」と言えば、明日からお店に入れなくなります。怖いですね。 また、「家賃(手数料)を上げます」と言われれば、従うしかありません。これも嫌ですね。
この「あまりにも強くなりすぎた大家さん(中央集権)」から、「私たちの権利を取り戻そう」という動きが、今話題のWeb3(ウェブスリー)、つまり**「分散化」**という考え方です。
本当にそんな世界は来るのでしょうか? 具体的な事例を交えながら、わかりやすくお話しします。
1. 「中央集権」と「分散化」を商店街でイメージする
「分散化」や「非中央集権」といった難しい言葉を、身近な例で置き換えてみましょう。
中央集権(今のインターネット/GAFA)
🏬 巨大なイオンモール 何でも揃っていて、クーラーも効いていて、駐車場も無料です。便利ですね。
でも、すべての店舗やお客さんは、モール運営会社のルールに従わなければなりません。 警備員(管理者)が常に監視し、データは運営会社が一括管理しています。
分散化(これからのインターネット/Web3)
🐟 活気ある商店街・青空市 全体を取り仕切る「社長」はいません。 魚屋、八百屋、肉屋がそれぞれ独立して商売をし、お客さんと直接やり取りします。人とのふれあいがある感じです。
では、管理者がいないのに、どうやって信用を守るのでしょうか?
それは**「ご近所の目(相互監視)」と「回覧板(共有の記録)」**です。
「あそこの魚屋は新鮮だ」「あの客はツケを払わない」という情報は、一人の管理者が独占するのではなく、みんなで共有します。
**「分散化」**とは、巨大な管理者に頼らず、参加者全員でネットワークを維持する仕組みのことなのです。
2. 巨大IT企業からの「脱却」の可能性
「本当に管理者は要らないの?」 「管理者がいないと無法地帯になるのでは?」
そう思うのは当然です。 しかし、すでに**「管理者がいないのに、世界規模で動いている仕組み」**が存在します。3つの事例を見てみましょう。
事例①:銀行を通さないお金(ビットコイン)
海外に住むお孫さんに10万円を送金するとします。
今までは銀行に行き、銀行という「信用できる仲介者」が記録することで送金が成立しました。その代わり、手数料は高く、着金まで数日かかることもあります。
一方、ビットコインは違います。 銀行も本社もありません。インターネット上の「みんな」が、一つの巨大な通帳(ブロックチェーン)を共有しています。
誰かがAさんからBさんに送金すると、世界中の何万台ものパソコンが「確かに移動したね」と確認し、通帳に書き込みます。
この仕組みは2009年に始まりましたが、銀行のような巨大な本社ビルも社員もいないのに、一度もシステムが止まることなく、何兆円ものお金が動き続けています。
これは、「銀行(中央)がいなくても、みんなで管理する仕組み(分散)でインフラが維持できる」ことを証明した歴史的な事例です。
事例②:自分専用の「鍵」(ウォレット)
ネット通販などで「Googleでログイン」というボタンを使ったことはありませんか? あれは便利ですが、例えるなら**「家の合鍵を大家さんに預けて、毎回開けてもらっている」**ような状態です。
もしGoogleがアカウントを凍結したら、紐づいている他のサービスにも一切入れなくなります。これを「プラットフォームへの依存(ロックイン)」と呼びます。
Web3の時代には、**「自分だけの鍵(ウォレット)」**を持ちます。 これは、役所に預ける必要のない「実印」のようなものです。
この実印さえあれば、GoogleやAmazonの許可を得なくても、あらゆるWeb3サービスに「これは私です」と証明してログインできます。自分の情報を自分で守れるようになるのです。
事例③:分散型SNS(Blueskyなど)
2022~2023年頃から、Twitter(現X)の運営方針に不安を感じた人たちが、BlueskyやMastodonといった「分散型SNS」へ移り始めました。
これらは、誰か一社がサーバーを独占せず、世界中の誰かが自分のサーバーを立ててつながる仕組みです。 「大家さんの言いなりにはならない」という意思表示であり、実際に多くの人が移動しています。
3. 現実的な未来予測:GAFAは消えるのか?
では、近い将来、巨大IT企業(GAFA)が潰れてなくなるかというと、答えは**「No」**です。
イオンモールはやはり便利です。 雨の日も濡れず、品揃えも豊富です。多くの人は、多少データを見られても便利さを優先するでしょう。
しかし、「選択肢」が生まれることが何より重要です。
これまでは「イオンモール(GAFA)しか買い物する場所がなかった」時代でした。 これからは、以下のような使い分けができるようになります。
- 普段の日用品: 便利なイオン(GAFA)で買う
- 大切な資産や会話: 信頼できる商店街(Web3)で行う
実際、2025年現在、AppleやGoogleもWeb3技術を取り入れ始めています。 完全に置き換わるのではなく、「共存」しながら、少しずつ「選択の幅」が広がっていくのが現実的な未来像です。
結論:便利さを取るか?自由を取るか?
「分散化/非中央集権」などと聞くと難しく感じますが、要するに**「行き過ぎた独占を適正に戻そう」**という、デジタル時代の民主主義運動のようなものです。
かつて電話交換手が手動で回線をつないでいた時代から、自動交換機になり、インターネットになったように、技術は常に「特定の手間や権力」を省く方向へ進化してきました。
Web3は、その最先端にある**「仲介人を省く技術」**です。
完全にGAFAがいなくなることはないでしょう。 しかし、「GAFAがいなくても成立する経済や場所」は確実に広がり始めています。
「便利さ」を取るか? それとも「自由と自立」を取るか?
私たちがその都度、自分で選べるようになる時代――それが「Web3時代」なのです。



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