第29問の「契約書(37条書面)」という合意の記録を乗り越え、ついに第30問、**「8種制限(自ら売主制限)」と「重要事項説明」**の複合問題へ到達しました。
この【問30】は、複数の宅建業者がタッグを組む「共同分譲」という非常に実務的な設定です。あなたが大切にされている**「責任の所在」と「消費者の保護」**というフェアネスの視点が、正解を導き出す強力な磁石になります。
複数のプロ(A・B・C社)が、一人のアマ(個人)に対して不動産を売る場合、プロが何人集まろうとも「一人ひとりが責任を全うする」のがこの世界の正義です。
(自問)
この複雑な共同販売の問題を解くためには、どのような基礎知識を整理しておけばよいのか?
(AI 回答)
以下の「4つの柱」を、プロとしての誠実さという観点から整理しましょう。
- 共同売主の「連帯責任」: 複数が売主になる場合、全員が宅建業法の義務(重要事項説明、書面交付など)を負います。「誰か一人がやればいい」という甘えは許されません。
- クーリング・オフの「聖域」: 事務所などの「落ち着いて判断できる場所」での契約にはクーリング・オフは適用されません。
- マンション管理の「案」: 管理規約がまだ「案」の段階であっても、それを説明するのが重要事項説明の義務です。
- 手付金保全の「5%ライン」: 未完成物件の場合、代金の 5%(または1,000万円) を超える手付金を受け取るなら、必ず保全措置が必要です。
では、問題文と選択肢アを確認しましょう。
【問30】 いずれも宅地建物取引業者であるA社、B社及びC社(以下この問において「売主ら」という。)が、分譲マンションを共同で建築、販売することとなり、建築確認を受けた後、工事完了前にその一室を 5,000 万円で宅地建物取引業者ではない個人である買主に売却しようとする場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)に違反するものはいくつあるか。
ア 売主らは、共同する全社が各個に重要事項説明を実施すると、かえって買主を混乱させると考え、買主の了解を得た上で、A社 1 社を幹事社とし、A社の宅地建物取引士が単独で重要事項説明書に記名のうえ、買主に交付し説明を行った。
(自問)「何人も担当者が来ると買主が混乱する」と考え、 幹事社が代表してサインすれば十分だとも思えるけど?
■ 記述 ア は違反行為です(記名の連帯義務)
(公正・フェアの視点からの自答)
責任の重さを「分散」させることはできません。
説明自体は一人の取引士が行っても構いませんが、重要事項説明書(35条書面)への記名は、売主である A・B・C各社それぞれの宅建士が行わなければなりません。
「自分は担当じゃないから知らない」という言い逃れを許さないのが、共同売主としての公正な義務です。したがって、A社のみの記名は違反です。
では、選択肢イです。
イ 売主らは、A社の事務所において買主から買受けの申込みを受け、売買契約を締結したが、売主らは当該売買契約には法第 37 条の 2 の規定に基づくいわゆるクーリング・オフの適用はないと判断し、クーリング・オフについて買主に告げる書面の交付は行わなかった。
(自問)クーリング・オフについて教えないのは、情報を隠している(アンフェアな)行為では?
■ 記述 イ の記述は正しく違反なし(事務所契約とクーリング・オフ:)
(公正・フェアの視点からの自答)
ルール上、そもそも権利が発生しない場所では説明の義務もありません。
売主であるA社の事務所は、買主が自ら足を運んでじっくり検討できる「正式な場所」です。このような場所での契約には、クーリング・オフ(無条件解約)の権利は最初から認められていません。権利がない以上、その説明書面を渡さなくても違反にはなりません。
(自問)そう説明されても、ほとんどの売買契約においては、クーリングオフが適用されるのが、普通だと思うんだけど? この「自問」に関するAI空の回答は、P.S. として追記しました。
次は、選択肢ウです。
ウ 売主らは、当該物件については、重要事項説明の時点では共用部分に関する規約が案であるので、買主の了解を得た上で、契約締結後に決定した規約を交付することとし、重要事項説明書への記載は省略した。
(自問)「まだ決まっていない未確定な情報」を説明して、後で変わってしまったら、かえって買主に迷惑(アンフェア)ではないですか?
■ 記述 ウ の行為は違反行為です(規約案の説明義務)
(公正・フェアの視点からの自答)
「案」であるから知らせないのではなく、「現時点での最善の情報」を伝えるのが誠実さです。
マンションの規約は、生活のルールそのものです。それが「案」であっても、今どんな内容で検討されているのかを知らされないまま買わせるのは、買主の判断を著しく妨げる行為です。「案」であれば、その案の内容を説明する義務があります。 省略は重大な違反です。
では、最後の選択肢エです。
エ 売主らは買主から手付金 500 万円を受領することとしたが、手付金の保全措置を講じる必要はないと判断し、手付金保全措置の概要について重要事項説明書への記載は省略した。
(自問)5,000万円という大きな取引に対して、500万円(1割)くらいの手付金であれば、保全(銀行等に預ける)しなくても安全なのか?
■ 記述 エ は違反行為です(保全措置の金額基準)
(公正・フェアの視点からの自答)
未完成物件(工事完了前)の保護基準は非常に厳格です。
未完成物件の場合、代金の 5% を超える手付金を受け取るなら、保全措置が「絶対」に必要です。
- 計算: 5,000 万円 × 5% = 250 万円 今回は 500 万円を受け取る予定ですから、250 万円を超えているため、保全措置を講じなければなりません。それを「不要」と判断し、説明を省略したのは明確な違反です。
【 氣置くポイント 】
【 共同売主の「3つのNO」 】
- 「一人で代表」はNO!(記名は全員の宅建士が必要)
- 「案だから省略」はNO!(マンション規約は案でも説明必須)
- 「500万ならOK」はNO!(未完成は5%がライン!250万を超えたら保全!)※クーリング・オフは「売主の事務所」なら発生しない(YES)!
宅建士としての「公正な取引」の眼差し
「共同販売だから、書類の作成は大手さんに任せておこう」
もし、そんな風に自分の責任を誰かに預けてしまったら、それはプロとしての誠実さを手放すことになります。
「A社、B社、そして私のC社。全員が名前を連ねて、お客様の未来を保証する。案の状態でも包み隠さずお伝えし、大切なお金はルール通りに守る」
この徹底した**「連帯責任」**の精神こそが、第30問の核心であり、あなたが目指す「公正な取引」の真髄です。
では、もう一度【問30】にトライしてみましょう。
【問30】 いずれも宅地建物取引業者であるA社、B社及びC社(以下この問において「売主ら」という。)が、分譲マンションを共同で建築、販売することとなり、建築確認を受けた後、工事完了前にその一室を 5,000 万円で宅地建物取引業者ではない個人である買主に売却しようとする場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)に違反するものはいくつあるか。
ア 売主らは、共同する全社が各個に重要事項説明を実施すると、かえって買主を混乱させると考え、買主の了解を得た上で、A社 1 社を幹事社とし、A社の宅地建物取引士が単独で重要事項説明書に記名のうえ、買主に交付し説明を行った。
イ 売主らは、A社の事務所において買主から買受けの申込みを受け、売買契約を締結したが、売主らは当該売買契約には法第 37 条の 2 の規定に基づくいわゆるクーリング・オフの適用はないと判断し、クーリング・オフについて買主に告げる書面の交付は行わなかった。
ウ 売主らは、当該物件については、重要事項説明の時点では共用部分に関する規約が案であるので、買主の了解を得た上で、契約締結後に決定した規約を交付することとし、重要事項説明書への記載は省略した。
エ 売主らは買主から手付金 500 万円を受領することとしたが、手付金の保全措置を講じる必要はないと判断し、手付金保全措置の概要について重要事項説明書への記載は省略した。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
違反する記述は、ア、ウ、エの「三つ」。したがって、正解は「3」となります。
どうでしょうか? 根拠も説明できたでしょうか?
今回は以上です。お疲れさまでした。
P.S.(自問)「イ」の記述の「クーリングオフの適用なし」は、正しいということですが、ほとんどの売買契約においては、クーリングオフが適用されるのが、普通だと思いますが、あなたの意見をお聞かせください。
(A I からの回答)結論から言うと、あなたの感覚は半分正しくて、半分ズレています。
つまり、
- 「一般にクーリングオフが使われる」という理解 → ❌ 宅建では誤解になりやすい
- 「イの“適用なし”は正しい」 → ✅ その通り
です。ここを整理すると、一気に腑に落ちます。
■ ① クーリングオフは「普通に使える制度」ではない
まず大前提として、宅建業法のクーリングオフ(法37条の2)は
👉 かなり限定的な制度です
適用されるのは、次のようなケースだけです:
✔ 適用される典型
- 業者の事務所以外(現地・喫茶店など)で契約
- 買主が「冷静に判断できない状況」で申し込んだ場合
■ ② 今回の「イ」はなぜ適用されないのか?
問題文を冷静に見ると、ここが決定打です:
「A社の事務所において」申込み・契約
これは宅建試験では超重要なキーワードで、
👉 事務所=クーリングオフ適用外
です。
つまり:
- 冷静に判断できる場所とみなされる
→ 保護不要
→ クーリングオフなし
■ ③ あなたの「普通は使えるのでは?」という感覚の正体
これは実務や一般イメージとのズレです。
✔ 一般の感覚
- 「契約って後から取り消せるでしょ?」
- 「クーリングオフ=広く使える」
👉 これは主に
- 訪問販売(特定商取引法)
- 通信販売など
のイメージです。
✔ しかし宅建業法では
- 不動産は高額・慎重判断が前提
- だから「例外的にしか保護しない」
👉 つまり逆です:
❌ 原則:クーリングオフできる
⭕ 原則:クーリングオフできない(例外でできる)
■ ④ 「イ」の本当の論点(試験的に重要)
ここ、かなり試験的に大事です。
✔ 論点は2段階
- クーリングオフできるか?
- 書面交付義務があるか?
✔ 今回
- そもそもクーリングオフ不可
→ 書面交付義務もない
👉 よって
「告げる書面の交付なし」=適法
■ ⑤ まとめ(試験用に一発で思い出す形)
👉 宅建の鉄則:
- 事務所 → クーリングオフ不可
- 事務所以外 → クーリングオフ可
■ ⑥ あなたへのフィードバック(重要)
あなたの思考はかなり良いです。
ただ一点だけ修正すると、さらに強くなります:
👉 「一般常識」ではなく「宅建のルール」で考える
宅建は特にこれが重要で、
- 常識とズレる問題ほど出題される
- 「え、普通こうじゃない?」が罠
です。気をつけましょう!


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