R7年【問29】37条書面(契約書)の誠実なルール

宅建試験でボケ防止

第29問は宅建業法の中でも非常に重要な**「37条書面(契約書)」**がテーマです。

35条(重要事項説明)が「お見合いの時の自己紹介(物件の説明)」だとするならば、37条(契約書)は「結婚の誓約書(取引の約束)」です。何を決めたのかを明確にし、言った言わないのトラブルを防ぐ**「合意のフェアネス」**が問われます。(35条と37条の違いについては、P.S.を参照して下さい)

この問題を攻略するには、35条(重要事項説明)との違いを意識しながら、記載事項の「絶対」と「任意」を整理することが不可欠です。

(自問)

この「37条書面」の問題を解くためには、どのような基礎知識を整理しておけばよいのか?

(AI 回答)

以下の「3つの柱」を、契約の重みを裏付けるという観点から整理しましょう。

  1. 「プロ同士」でも手抜きは許されない: 35条(説明)はプロ相手なら省略できる部分がありますが、37条(書面交付)は相手が誰であっても**「義務」**です。
  2. 記載事項の「二階建て構造」:
    • 必要的記載事項: どんな契約でも必ず書かなければならない項目(代金、引渡時期、名義変更の登記時期など)
    • 任意的記載事項: 「定め」を作った時だけ、その内容を書かなければならない項目(ローン特約、危険負担、違約金など)
  3. 既存建物(中古住宅)への誠実さ: 中古住宅の不安を解消するため、建物の状態を双方がどう確認したかを記録するルールがあります。

では、問題文と選択肢1番を確認しましょう。

【問 29】 宅地建物取引業者Aが宅地建物取引業法第 37 条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37 条書面」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。


1  Aが媒介により事業用宅地の賃貸借契約を成立させた場合、37 条書面を交付しなければならないが、契約の当事者Bが宅地建物取引業者であるときは、交付する必要はない。

(自問)相手がプロなら、契約の内容は百も承知のはず。わざわざ書面を作らなくても、お互いにフェアな取引ができるのではないか?

■ 選択肢 1 の記述は間違っています(プロ同士の例外なし)

(公正・フェアの視点からの自答)

いいえ、契約書は「言った言わない」を防ぐための最終的な証拠です。

プロ同士の取引であっても、後からトラブルになった際に書面がないことは、市場の混乱を招くアンフェアな火種となります。37条書面は、取引の安全を担保する「公的な記録」としての役割があるため、相手がプロであっても省略することは絶対にできません。


では、選択肢2番です。

2  Aが自ら売主としてCと既存の建物の売買契約を締結した場合、建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項を 37 条書面に記載しなければならない。

(自問)中古住宅の傷み具合などを「確認したよ」との記録まで、契約書に残す必要があるのか?

■ 選択肢 2 の記述は正しい(中古住宅の透明性)

(公正・フェアの視点からの自答)

選択肢2番の記述こそが中古住宅流通をフェアにするための大切なルールです。

「買った後で雨漏りが見つかった」といったトラブルを防ぐため、契約の時点で「どこまで確認し、納得したか」を明確に記録します。これを書面に残すことで、売主・買主双方が誠実に物件に向き合った証となり、安心な取引を支えます。


では、選択肢3番です。

3  AがDを売主としEを買主とする宅地の売買契約を媒介した場合、天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがないときは、定めがない旨を 37 条書面に記載しなければならない。

(自問)「天災で壊れたらどうするか」を決めていない場合でも、そのことをわざわざ「決めていない」と書く方が誠実ではないのか?

■ 選択肢 3 の記述は間違っています(「なし」の記載は不要)

(公正・フェアの視点からの自答)

決まっていないことまで書面を埋める必要はありません。

この項目(危険負担)は「任意的記載事項」であるため、定めがある時だけ、その内容を書けば足ります。

定めがないのに「定めなし」と書かなければならない、というルールはありません。重要なポイント(必要的記載事項)を際立たせるためにも、決めていない枝葉のことは書かない。これも書面の透明性を保つための合理的なフェアネスです。


では、最後の選択肢4番になります。

4  Aが自ら売主としてFと建物の売買契約を締結した場合、代金についての金銭の貸借のあっせんに関する定めがある場合における当該あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置については、37 条書面に記載する必要はない。

(自問)「ローンが借りられなかったらどうするか」という話は、あくまで個人的な事情であり、契約書のメインテーマではないから、書かなくてもいいのではないか?

■ 選択肢 4 の記述は間違っています(ローン特約の不成立措置)

(公正・フェアの視点からの自答)

金銭の貸借が成立しないときの措置は、買主の人生を左右する極めて重要な「守り」の条項です。

ローンがあっせんされる場合、もしそれが借りられなかったら契約を白紙に戻すのか、それとも違約金が発生するのか。この「出口のルール」を曖昧にすることは、買主に対して極めて不誠実(アンフェア)です。 そのため、ローンのあっせんの定めがある場合は、「不成立の時の措置」を必ず記載しなければならないと法律で厳格に決まっています。


【 氣置くポイント 】

【 37条(契約書)の「鉄則」 】

  1. プロ相手でも「絶対交付」!(例外なしのフェアネス)
  2. 中古住宅は「確認した事項」を書く!(現状の透明化)
  3. 定めがなければ、書かなくていい!(任意的記載事項のルール)
  4. ローン不成立の「出口」は必ず書く!(買主の保護)「何を決めたか」を形に残すことが、取引の正義だ!

では、理解できたか確認するためにもう一度【問29】を解いてみましょう。

【問29】 宅地建物取引業者Aが宅地建物取引業法第 37 条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37 条書面」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1  Aが媒介により事業用宅地の賃貸借契約を成立させた場合、37 条書面を交付しなければならないが、契約の当事者Bが宅地建物取引業者であるときは、交付する必要はない。
2  Aが自ら売主としてCと既存の建物の売買契約を締結した場合、建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項を 37 条書面に記載しなければならない。
3  AがDを売主としEを買主とする宅地の売買契約を媒介した場合、天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがないときは、定めがない旨を 37 条書面に記載しなければならない。
4  Aが自ら売主としてFと建物の売買契約を締結した場合、代金についての金銭の貸借のあっせんに関する定めがある場合における当該あっせんに係る金銭の貸借が成立しないときの措置については、37 条書面に記載する必要はない。

宅建士としての「公正な取引」の眼差し

「プロ同士ですから、書面は簡略化しましょう」

「決まっていないことは、適当に流しておきましょう」

もし、そんな風に妥協してしまったら、いつか誰かがアンフェアな不利益を被ることになります。

「どんなに小さな取引でも、あるいは相手がプロであっても、決めたことは正確に筆に残す。それが、お客様と私たちの未来を守る一番の誠実さです」

このこだわりが、あなたを「選ばれる宅建士」へと導きます。

P.S.(自問)天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがないときは、定めがない旨を 37 条書面に記載する必要がないことは分りましたが、定めがない項目として、書面に残す必要がある項目はあるのか?

(AI からの回答)

宅地建物取引業法第37条に規定される書面(いわゆる契約書)において、「定めがない場合に、あえて『定めがない』と記載しなければならない項目」は存在しません。

37条書面の記載事項には、「必ず書かなければならない事項(必要的記載事項)」と、「定めがある場合のみ書かなければならない事項(任意的記載事項)」の2種類がありますが、それぞれのルールは以下の通りです。

1. 37条書面(契約書)の記載ルール

  • 必ず記載する項目(必要的記載事項):代金の額、支払時期、引渡しの時期、移転登記の申請時期などは、契約において必ず決めるべき事項であるため、「定めがない」ということはあり得ません。必ず具体的な内容を記載します。
  • 定めがある時だけ記載する項目(任意的記載事項):損害賠償額の予定、代金以外の金銭の授受、ローン特約、天災による損害負担(危険負担)などは、当事者間で「定め(約束)」をした場合に限り、その内容を記載します。定めがないのであれば、項目自体を記載する必要はありません。

2. 第35条(重要事項説明書)との違い

ここが試験や実務で非常に間違いやすいポイントです。「定めがない旨を記載(説明)しなければならない」というルールは、主に第35条(重要事項説明)に存在します。

比較すると以下のようになります。

項目第35条(重要事項説明)第37条(契約書)
金銭の貸借のあっせん(ローン)あっせんの**「有無」**を説明する。あっせんしない場合も「なし」と説明が必要。**「定めがある時」**のみ記載する。定めがなければ記載不要。
抵当権などの登記登記がある場合はその内容、**ない場合は「なし」**と説明が必要。記載事項ではない(移転登記の時期のみ記載)。
契約不適合責任(瑕疵担保)責任に関する保証保険等の措置の**「有無」**を説明する。**「定めがある時」**のみ記載する。

まとめ

37条書面は「合意した内容の記録」であるため、「合意していないこと(定めがないこと)」を書く必要はないと整理しておけば間違いありません。

対して35条書面は「物件や取引に関する情報の開示」であるため、買主の判断材料として、特定の事項については「(その事実が)ない」ということも重要な情報として伝えなければならない、という違いがあります。

以上です。お疲れさまでした。

コメント

タイトルとURLをコピーしました