【問19】は、あなたが学んでいる階層構造の第2段階「法令上の制限」の中でも、近年特に注目されている「宅地造成及び特定盛土等規制法(通称:盛土規制法)」がテーマです。
この法律の「公正・フェア」の基準は、「目先の利益や工事の利便性よりも、周辺住民の『命の安全』を最優先する」ことにあります。
熱海市での土石流災害(2021年)をきっかけに、全国一律の厳しい基準で「危険な盛土」を監視する仕組みとして生まれ変わりました。いわば、「安全をないがしろにする取引は、社会的に絶対に許さない」という強い正義の法律です。
それでは、自問自答形式で整理していきましょう。
【問19】テーマ:盛土規制法(命を守るための厳格なルール)
【問19】 宅地造成及び特定盛土等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市及び中核市にあってはその長をいうものとし、地方自治法に基づく施行時特例市に係る経過措置については考慮しないものとする。
1 工事主は、特定盛土等規制区域内において行われる特定盛土等又は土石の堆積に関する政令で定める規模の工事の許可の申請をするときは、あらかじめ、主務省令で定めるところにより、特定盛土等又は土石の堆積に関する工事の施行に係る土地の周辺地域の住民に対し、説明会の開催その他の当該特定盛土等又は土石の堆積に関する工事の内容を周知させるため必要な措置を講じなければならない。
(自問)危ない盛り土や土石の堆積(たいせき)をする前に、「住民に説明会をする」などの周知措置を義務付けるのは、業者にとって負担があっても、させるのがフェアなのか?
■ 選択肢 1 の記述は、社会正義につながるフェアなルールであるため「正しい」
崩れたら命に関わるような大規模な工事を、近隣住民に黙って進めることこそがアンフェアです。
「これからこういう工事をします」「安全対策はこうなっています」と事前にオープンにすることで、住民の不安を解消し、社会的な信頼を得る。これが、改正後の盛土規制法が求める「透明性の高い取引」の姿です。
では、選択肢2番です。
2 宅地造成等工事規制区域内の土地の工事主又は工事施行者は、宅地造成等に伴う災害が生
じないよう、その土地を常時安全な状態に維持するように努めなければならない。
(自問)「常時」とは、どう有意味で使われているのだろうか?
この「常時」という言葉に込められた「公正・フェア」な視点を深掘りすると、盛土規制法が何を守ろうとしているのかがより鮮明になります。
1. なぜ「常時(いつでも)」なのか?
盛り土(盛土)は、一度作ればそこに永続的に存在し続ける構造物です。
工事が終わった直後は安全でも、10年後の大雨、20年後の地震、あるいは経年劣化によって、いつ牙をむくか分かりません。
- 社会的な正義: 「工事が終わったから、もう自分たちには関係ない」という無責任な態度を許すと、周辺住民は一生、崩落の恐怖に怯えて暮らすことになります。これは住民に対して極めてアンフェアです。
- 義務の継続性: だからこそ法律は、「その土地が存在する限り、誰かがずっと(常時)安全を見守り続けなさい」という厳しい命令を下しているのです。
2. 「いつ」と「誰が」をセットで覚える
ここが【問19】の選択肢2を正しく見抜くための最重要ポイントです。
- 工事中の責任: 工事をしている「工事主」や「施工者」が、工事現場の安全に責任を負うのは当然です。
- 「常時(工事後含む)」の責任: しかし、工事が終わって引き渡された後の土地を、ずっと見守り続けるのは、実際にその土地を自由にできる立場の人であるべきです。
法律は、この「常時」の責任を以下の3者に負わせています。
- 所有者: その土地の持ち主(オーナー)
- 管理者: その土地を実際に管理している人(管理会社など)
- 占有者: その土地を借りて住んでいる人(テナントなど)
(公正な視点からの納得感)
工事をして去っていった業者(施行者)に、30年後の安全維持まで「常時」義務付けるのは、業者にとって酷(アンフェア)です。一方で、今その土地から利益を得たり、住んでいたりする人たちが安全に責任を持つのは、社会的に筋の通った公正な役割分担と言えます。
【氣置くポイント】
「常時」 = 「土地がある限りエンドレス」
そのエンドレスな責任を負うのは、今その土地を握っている「所有者・管理者・占有者」の3点セット。
(※工事主や施工者は、工事が終わればこの「常時」の義務からは解放される)
「常時」の意味が分かったところで、もう一度選択肢2番を確認しましょう。
2 宅地造成等工事規制区域内の土地の工事主又は工事施行者は、宅地造成等に伴う災害が生
じないよう、その土地を常時安全な状態に維持するように努めなければならない。
(自問)工事が終わった後も、ずっとその土地を安全に保つ義務(維持管理義務)を、大昔に工事をしただけの「工事主」や「工事施行者(業者)」にまで、一生負わせ続けるのはフェアか?
■ 選択肢 2 のような規定は、工事主などにとってあまりにも負担が大き過ぎるため「間違った記述」です
土地を「常時安全な状態に維持する」義務があるのは、現在その土地を支配している「所有者・管理者・占有者」です。
工事をした人(施行者)は、工事期間中の責任は負いますが、引き渡した後の日常的な管理まで一生強制されるのは筋が通りません。
「誰がその責任を負うべきか」を明確にすることが、法における公正な役割分担です。
では、選択肢3番です。
3 都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内の土地について、宅地造成等に伴う災害の防止のために必要があると認める場合においては、その土地の所有者、管理者、占有者、工事主又は工事施行者に対して、擁壁等の設置等の必要な措置をとることを勧告することができる。
(自問)知事が、土地の持ち主や工事した業者に対して「危ないから壁(擁壁)を作ってね」と勧告(アドバイス)するのは、私有財産への過度な干渉ではないか?
■ 選択肢 3 の規定は、災害を未然に防ぐための公正な公権力の行使であるため、正しい記述です。
「実際に崩れてから対応する」のでは遅すぎます。被害が出る前に、プロの視点(知事)で危険を察知し、必要な措置を促すことは、住人の命を守るための「予防的でフェアな規定」です。
勧告を無視して放置し、他人の命を危険にさらすことこそが、最もアンフェアな行為です。
最後の選択肢4番です。
4 宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事の許可を受けた工事主は、当該許可に係る土地の見やすい場所に、主務省令で定めるところにより、氏名又は名称その他の主務省令で定める事項を記載した標識を掲げなければならない。
(自問)工事現場に「誰が責任者か」を書いた看板(標識)を掲示させるのは、フェアな規定か?
■ 選択肢 4 の規定は、責任の所在を明らかにするためのフェアな規定であるため「正しい」記述です。
何かあった時にどこに連絡すればいいのか、誰の責任でこの山が盛られているのかを周囲に示すことは、プロの業者としての誠実さの証です。
看板を隠してこっそり行う工事は、それだけで不正の温床となり、社会に対してアンフェアな態度となります。
【氣置くポイント】
【 管理の責任者は「今の持ち主」 】
- 維持管理の3点セット: 土地を常に安全に保つのは「所有者・管理者・占有者」の役目!(工事した業者ではない)
- 周知の徹底: 許可申請の「前」に、周辺住民への周知が必要な場合がある。隠し事はフェアじゃない!
- 看板は信頼の印: 許可を得た工事には、必ず「責任者」の標識を掲げる義務がある。
【 責任のバトンを追いかけろ! 】
- 「工事」という言葉があれば: 工事主・施行者(業者)が主役。
- 「常時(維持管理)」という言葉があれば: 所有者・管理者・占有者(今の持ち主)が主役。 「今、その土地を支配しているのは誰か?」を考えれば、公正な責任の所在が見えてくる。
宅建士としての「公正な取引」の眼差し
この法律は、熱海の悲劇を繰り返さないために作られたものです。
あなたが土地を扱う際、「ここは昔、盛り土をした土地ですよ」という情報があれば、それは単なる土地の説明ではなく、「誰がその安全を守り続ける責任を負うのか(選択肢2)」という、将来の買主への重要なメッセージになります。
「安く買った土地のせいで、後から大きな管理責任(壁の設置など)を負わされた!」
そんな買主の絶望を防ぐために、この法律の厳しさを伝えることが、あなたの目指す「公正な取引」の核心となります。
【問19】もう一度トライしてみましょう。
【問19】 宅地造成及び特定盛土等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市及び中核市にあってはその長をいうものとし、地方自治法に基づく施行時特例市に係る経過措置については考慮しないものとする。
1 工事主は、特定盛土等規制区域内において行われる特定盛土等又は土石の堆積に関する政令で定める規模の工事の許可の申請をするときは、あらかじめ、主務省令で定めるところにり、特定盛土等又は土石の堆積に関する工事の施行に係る土地の周辺地域の住民に対し、説明会の開催その他の当該特定盛土等又は土石の堆積に関する工事の内容を周知させるため必要な措置を講じなければならない。
2 宅地造成等工事規制区域内の土地の工事主又は工事施行者は、宅地造成等に伴う災害が生じないよう、その土地を常時安全な状態に維持するように努めなければならない。
3 都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内の土地について、宅地造成等に伴う災害の防止のために必要があると認める場合においては、その土地の所有者、管理者、占有者、工事主又は工事施行者に対して、擁壁等の設置等の必要な措置をとることを勧告することができる。
4 宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事の許可を受けた工事主は、当該許可に係る土地の見やすい場所に、主務省令で定めるところにより、氏名又は名称その他の主務省令で定める事項を記載した標識を掲げなければならない。
どうでしょうか? 根拠が説明でき、正解にたどり着くことができたでしょうか?
不明確な点に関しては、自問自答形式に戻り、確認して、根拠が言えるようにしましょう。
根拠が説明でき、正解にたどり着けたら、今回は、以上です。お疲れさまでした。
- このブログは、不動産適正取引推進機構で公開されている過去問を元に、自分の勉強用として、Gemini と共に作成した自問自答形式の資料です。
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