問32:買主の「お金」をどう守る?手付金・保全措置のストーリー

宅建試験でボケ防止

今回の【問32】は、宅建業法の中でも特に重要な**「自ら売主制限」**、その中でも買主が最初に支払う「手付金」などをどう守るかというテーマです。

業法がプロ(業者)に対して「それ、やりすぎだよ!」「先に準備しておいて!」と厳しく制限をかけている様子を、ストーリーで紐解いていきましょう。

1. この問題のテーマ:買主の「預けたお金」を守る物語

不動産売買では、完成前にお金を払ったり、高額な手付金を預けたりします。もし途中で業者が倒産したら? 買主は一生に一度の買い物で大損をしてしまいます。

これを防ぐための「安全装置(保全措置)」と「ペナルティのルール」が今回の主役です。

まずは問題文を確認しましょう。

【問32】 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBとの間でマンション(代金 4,000 万円)の売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定に違反しないものはどれか。


2. 各選択肢のストーリー解説

選択肢1番を確認しましょう。

1  Aは、建築工事完了前のマンションの売買契約を締結する際にBから手付金 200 万円を受領し、さらに建築工事中に 200 万円を中間金として受領した後、当該手付金と中間金について法第 41 条に定める保全措置を講じた。

1:安全装置は「飛び込む前」に用意せよ(後出し厳禁の物語)

【内容】 未完成物件で計400万円(10%)を受領した後、保全措置を講じた。

  • ストーリー的解釈:未完成の物件はリスクが高いため、「代金の5%」を超えてお金をもらうなら、業者はあらかじめ銀行などと保証の約束をしておかねばなりません。「まずお金をもらって、その後に安全装置をつけた」というのは、スカイダイビングで「飛び降りた後にパラシュートを背負った」のと同じくらい危うい行為です。
  • 結論:違反(アウト)未完成物件の場合、5%(今回は200万円)を超える前に保全措置を講じる必要があります。今回のように400万円受け取った「後」で対策するのは、順番が逆です。

選択肢2番です。

2  Aは、建築工事完了後のマンションの売買契約を締結する際に、法第 41 条の 2 に定める保全措置を講じることなくBから手付金 400 万円を受領した。

2:10%のボーダーライン(ギリギリセーフの物語)

【内容】 完成済物件で手付金400万円(10%)を、保全措置なしで受領した。

  • ストーリー的解釈:完成している物件は、実物がある分、未完成よりはリスクが低いとされます。そのため、安全装置(保全措置)が必要になる基準が少し緩やかになり、「代金の10%を超える場合」となります。
  • 結論:違反しない(セーフ!)代金4,000万円の10%は「ちょうど400万円」です。ルールは「10%を超える(400万1円〜)なら措置が必要」なので、ちょうど10%なら保全措置は不要です。これは適法な行為です。

選択肢3番です。

3  Aは、建築工事完了前のマンションの売買契約を締結する際にBから手付金 500 万円を受領したが、Bに債務不履行がないにもかかわらず当該手付金 500 万円を返還して、契約を一方的に解除した。

3:業者の「心変わり」は高くつく(倍返しの物語)

【内容】 手付金500万円をもらった後、それをそのまま返して一方的に契約解除した。

  • ストーリー!的解釈:一度契約したのに、業者側の都合で「やっぱりやめた」と言うのは、買主にとって大きな迷惑です。手付金による解除を認める代わりに、業者はもらったお金を返すだけでなく、「同じ金額を自分のお財布から出して(倍返し)」、誠意を見せなきゃいけないというルールがあります。
  • 結論:違反(アウト)買主に落ち度がないのに業者が一方的にやめるなら、**「手付金の倍額(1,000万円)」**を返さなければなりません。預かった500万円だけを返すのは、ルール違反です。

では、最後の選択肢4番です。

4  Aは、建築工事完了後のマンションの売買契約を締結する際に、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を 1,000 万円とする特約を定めた。

4:キャンセル料に「天井」を設ける(取りすぎ禁止の物語)

【内容】 損害賠償の予定額を1,000万円(25%)とする特約を作った。

  • ストーリー的解釈:「もしキャンセルしたら、違約金として代金の半分をもらうよ!」なんていう、厳しいペナルティをプロが設定してはいけません。買主が契約を躊躇してしまわないよう、ペナルティの金額には「天井(上限)」が決められています。
  • 結論:違反(アウト)損害賠償の予定額や違約金は、合計で**「代金の20%(今回は800万円)」**までしか設定できません。1,000万円という特約は、この天井を超えてしまっているためアウトです。

3. まとめ:違反しないものはどれ?

あらためて整理すると、以下の通りです。

  • 1:違反(安全装置の用意が遅すぎる)
  • 2:違反しない(10%ちょうどなら保全なしでOK)
  • 3:違反(もらった分を返すだけじゃ足りない「倍返し」が基本)
  • 4:違反(20%の天井を突き抜けている)

正解:2


学習のアドバイス:プロvsアマの構図を忘れずに

宅建業法の「自ら売主制限」の問題を解くときは、常に**「プロ(業者)が強気に出すぎていないか?」「アマ(買主)が不利になっていないか?」**という視点でストーリーを追ってみてください。数字の暗記(5%、10%、20%)も、この物語の背景とセットにすると忘れにくくなります。

では、もう一度問題を確認しましょう。

【問32】 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではないBとの間でマンション(代金 4,000 万円)の売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定に違反しないものはどれか。

1  Aは、建築工事完了前のマンションの売買契約を締結する際にBから手付金 200 万円を受領し、さらに建築工事中に 200 万円を中間金として受領した後、当該手付金と中間金について法第 41 条に定める保全措置を講じた。

2  Aは、建築工事完了後のマンションの売買契約を締結する際に、法第 41 条の 2 に定める保全措置を講じることなくBから手付金 400 万円を受領した。

3  Aは、建築工事完了前のマンションの売買契約を締結する際にBから手付金 500 万円を受領したが、Bに債務不履行がないにもかかわらず当該手付金 500 万円を返還して、契約を一方的に解除した。

4  Aは、建築工事完了後のマンションの売買契約を締結する際に、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を 1,000 万円とする特約を定めた。

どうでしょうか?

根拠もきちんと説明できたでしょうか?

自信を持って答えることができたら、今回は終了です。

お疲れさまでした。

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