宅建試験において「禁止行為」の問題は、単なる暗記ではなく、**「なぜそれが禁止されているのか?」**というストーリーで考えると一気に定着します。
今回の【問31】は、業法の根底にある**「誠実さ」と「消費者の自由を奪わないこと」**が問われています。それぞれの選択肢がなぜ「アウト」なのか、ストーリーで見ていきましょう。
1. この問題のテーマ:宅建業者の「マナーと誠実さ」
宅建業法は、プロ(業者)が素人(お客さん)を騙したり、怖がらせたり、不当に縛り付けたりすることを厳しく禁じています。
問題文を確認しましょう。
【問31】 次の記述のうち、宅地建物取引業法により禁止されている行為が含まれているも
のはいくつあるか。
2. 各選択肢のストーリー解説
まずは選択肢アを確認しましょう。
ア 宅地建物取引士が、マンション販売の勧誘を電話で行うにあたり、まず、契約締結について勧誘する目的である旨を告げたうえで、自分の名前は名乗らず、自身の勤務する宅地建物取引業者の名称及び免許番号を伝えたうえで勧誘を行った。
ア:名前を言わない勧誘(不意打ち防止の物語)
【内容】 電話勧誘で、目的と会社名は言ったが、自分の名前は名乗らなかった。
- ストーリー的解釈:もしあなたが、知らない番号からの電話に出たとき、「〇〇不動産ですが、マンション買いませんか?」とだけ言われ、相手が誰かも分からないまま話を続けられたらどう感じるでしょうか?「何かあったとき、誰が責任を取るのか?」と不安になりますよね。
- 結論:違反(アウト)業法では、勧誘の際に**「氏名(自分の名前)」**を告げることを義務付けています。責任の所在を明らかにしない「匿名勧誘」は、消費者を守る観点から許されません。
では次は、選択肢イです。
イ 宅地建物取引業者が、賃貸マンションの媒介で入居申込者から申込みを受け付けたところ、当該マンションのオーナーからの審査回答待ちとなった。その後、入居申込者が、申込みを撤回したい旨電話で伝えたところ、当該宅地建物取引業者の従業員から声を荒げ「撤回をするなら、とりあえず事務所まで来てくれないと困る」と怒鳴られ、面会を強要された。申込者はその言動に不安を覚えたため、事務所に赴いて、申込みの撤回を申し出たところ、申込みの撤回が了承された。
イ:怒鳴って面会を強要(自由な意思決定の物語)
【内容】 申込撤回を伝えたら「事務所に来い!」と怒鳴られ、怖くて事務所に行かされた。
- ストーリー的解釈:不動産の契約は人生の大きな決断です。一度申し込んだ後でも、冷静になって考え直す権利があります。それを「怒鳴る」「脅す」ことで無理やり引き止めるのは、もはやビジネスではなく「強要」です。
- 結論:違反(アウト)申込の撤回を妨げるために、威迫する(怖がらせる)行為や、面会を強要する行為は厳禁です。たとえ最終的に撤回を認めたとしても、その過程で「怒鳴って無理やり来させた」こと自体がアウトです。
次は、選択肢ウです。
ウ 宅地建物取引業者が、一時的にアルバイトを雇って、マンション販売の広告チラシの配布を行わせることとしたほか、契約書の作成業務も補助的に行わせるため、従業者証明書をその者に発行し、それらの業務を行わせた。ただし、そのアルバイトはマンション販売の広告チラシの配布の際には、従業者証明書を携帯していなかった。
ウ:証明書を持たせない(プロとしての証明の物語)
【内容】 契約補助も行うアルバイトが、チラシ配布の際に「従業者証明書」を携帯していなかった。
- ストーリー的解釈:「チラシを配るだけならアルバイトだし、証明書なんていらないよね?」と油断しがちですが、このアルバイトさんは「契約書の作成補助」という重要な仕事も任されています。お客さんから見れば、チラシを配っている人も「その会社の代表者の一員」です。
- 結論:違反(アウト)原則として、従業員は業務中、常に「従業者証明書」を携帯しなければなりません。例外的に、清掃やチラシ配布「のみ」を専門に行う人は免除されることがありますが、このケースでは**「契約書作成の補助」**も行っているため、携帯義務があります。
最後の選択肢エを確認しましょう。
エ マンションの販売の勧誘における説明において、宅地建物取引士は、日当たりのよいマンションの購入希望者に対して、「マンション南側の月極駐車場は出来たばかりであり、将来にわたりそこにマンションなどの高層の建物が建つ予定は全くない」と説明し、購入希望者から購入申込みを受け付けた。
エ:将来を断定する(予言者気取りの禁止の物語)
【内容】 「隣は駐車場になったばかりだから、将来も絶対に建物は建たない」と断言した。
- ストーリー的解釈:「日当たり」を重視する買主にとって、隣の空き地は最大の懸念点です。しかし、未来のことは誰にも分かりません。業者が「絶対に建たない」と予言者のように断定してしまうと、買主はそれを信じて誤った判断をしてしまいます。
- 結論:違反(アウト)不確実な将来の事項について、断定的な判断を提供することは禁止されています。「今のところ予定はない」と言うのは事実ですが、「将来にわたり全くない」と断言するのは嘘をついているのと同じ、という厳しい見方です。
3. まとめ:違反はいくつ?
あらためて整理すると、以下の通りです。
- ア:違反(自分の名前を名乗っていない)
- イ:違反(怒鳴って面会を強要した)
- ウ:違反(事務所以外の業務でも証明書携帯が必要)
- エ:違反(将来を勝手に断定した)
すべてが「禁止されている行為」を含んでいます。
正解:4(四つ)
学習のアドバイス:プロとしての「品格」を問う
この手の問題は、「もし自分が買主だったら、これをされて嫌じゃないか?」という視点を持つと、条文を忘れても正解に辿り着けます。
「不誠実な業者を排除する」という宅建業法のスピリットを、ストーリーで理解しておきましょう!
では、もう一度問題を確認しましょう。
【問31】 次の記述のうち、宅地建物取引業法により禁止されている行為が含まれているものはいくつあるか。
ア 宅地建物取引士が、マンション販売の勧誘を電話で行うにあたり、まず、契約締結について勧誘する目的である旨を告げたうえで、自分の名前は名乗らず、自身の勤務する宅地建物取引業者の名称及び免許番号を伝えたうえで勧誘を行った。
イ 宅地建物取引業者が、賃貸マンションの媒介で入居申込者から申込みを受け付けたところ、当該マンションのオーナーからの審査回答待ちとなった。その後、入居申込者が、申込みを撤回したい旨電話で伝えたところ、当該宅地建物取引業者の従業員から声を荒げ「撤回をするなら、とりあえず事務所まで来てくれないと困る」と怒鳴られ、面会を強要された。申込者はその言動に不安を覚えたため、事務所に赴いて、申込みの撤回を申し出たところ、申込みの撤回が了承された。
ウ 宅地建物取引業者が、一時的にアルバイトを雇って、マンション販売の広告チラシの配布を行わせることとしたほか、契約書の作成業務も補助的に行わせるため、従業者証明書をその者に発行し、それらの業務を行わせた。ただし、そのアルバイトはマンション販売の広告チラシの配布の際には、従業者証明書を携帯していなかった。
エ マンションの販売の勧誘における説明において、宅地建物取引士は、日当たりのよいマンションの購入希望者に対して、「マンション南側の月極駐車場は出来たばかりであり、将来にわたりそこにマンションなどの高層の建物が建つ予定は全くない」と説明し、購入希望者から購入申込みを受け付けた。
1 一つ
2 二つ
3 三つ
4 四つ
どうでしょうか?
根拠を説明できたでしょうか?
今回は以上です。お疲れさまでした。


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